※過去作品の感想ながらネタバレ的なことを書いてる場合が多いので、新鮮な気持ちでアニメ作品を見たい場合は注意。
将棋分からないだけならまだしも…
そろそろ第二期がはじまるのを前に、今さらながら「3月のライオン」第1期の感想を。
(出典:YouTube アニプレックス YouTube チャンネル)
ちなみに将棋は全く分からない… (・_・;)
でも後述するが、同じく将棋は分からずとも、この物語の主人公、桐山零の気持ちが分かる人間は少なからずいて、恐らく苦しくなったり、目からウロコだったり、もっと言えば新しく自分自身を構築し直そうかとか思ったりする人もいるかもしれないなと思った。
昔「ハチワンダイバー」が好きで、それも将棋が分からずとも楽しめたので、その辺りはあまり気にせず見ることができた。

羽海野チカさんと言えば「ハチミツとクローバー」だけど、他に作品あるのかな?とwikiってみたら、「3月のライオン」の連載開始は2007年とのこと。
それをこの時期に開始したってのは、藤井聡太四段の活躍で将棋の熱を感じてってことなのか?
別にそういうことではなく、偶然に重なったってことなら、すごい神的なタイミングだなとw
そしてwikiでもっと驚いたのは、「東のエデン」のキャラクター原案が羽海野チカさんだったってこと。
知らなかったのか、忘れてただけか… どっちにしてもなんたる不覚… orz
アニメファンの風上にも置けない…

両極端さが相乗効果で両極を引き立たす
風下で反省しつつ…
オープニング、エンディングともにバンプ・オブ・チキンという超贅沢な展開と、前述したように藤井聡太四段の活躍というタイミングもぴったりだったけど、世間の人気的にはどうだったんだろう。
なにしろそういうリアルタイムのタイミングで見ていないので、評判とかも不明…
さて、相変わらずキャラも可愛いんだけど、もちろん物語では「戦場」も描かれる訳で、その対比でより両極端が際立つ感じがする。
「こたつのように温かい」川本家サイド?は小春日和のようにやさしくて温かく、暗くて重い闇を抱える桐山零サイドはキンキンに凍える冬のように冷たくて厳しい。
個人的に、この冷たくて厳しいってイメージは、同時に美しいというイメージもあって、このイメージにバンプの曲はすごく合うと思う。
バンプの曲は、例えるなら死ぬほど寒いけど空気が澄んでいる冬に、遠くまで見渡せる景色みたいな感じだ。
この2本のMVを泣かずに見れる人がいるんだろうかw (T_T)
(出典:YouTube BUMP OF CHICKEN)
(出典:YouTube BUMP OF CHICKEN)
OP、EDに関して言えば、途中変わったYUKIの声がなんだか艶やかさ?が増した感じの声で、これはこれですごく良かった。
(出典:YouTube YUKI YouTube Official Channel)
物語は将棋はもちろん、主人公桐山零の内面を通して見える光景が、様々なキャラクターを絡めて描かれる。
両極端な感じは、川本家の三姉妹やおじいちゃん、ネコ達と、個性的なプロ棋士達というキャラクターの存在自体でも感じられるんだけど、零本人の中にある二面性みたいなものも通して伝わる。
現実的にはもちろんこんな辛い過去を抱えてる人間はそんなに多くはないとは思うし、一見弱そうに見えて実はとても強い、というか強くなった人間というのも、もしかしたらそんなに多くはないのかもしれない。
でも多分、ある一定数は必ずこういう気持ちが分かって、もしかしたら同調してしまう人間がいる。と思う。
川本家の団欒の中にいる自分と、1人の部屋にいる自分。
ホカホカして暖かい場所と、時計の音すらうるさく感じる場所。
「そのものの正体」を知っていて、飲み込まれないようにと部屋を飛び出して歩く桐山零の心情を理解しながら、それでも暖かい場所にだけいると時には息苦しくなって、あえて凍える場所に身を置きたくなったりもする気持ち。
現実問題として、本当のプロ棋士という人たちがどんな心情で生きて、戦って、向かい合っているのかは分からないけれど、近からず遠からずそういう凍えるような厳しい場所に身を置いておける人間なのかもしれない。
後半の島田八段の命を削るような戦いとか覚悟とか、スポーツや格闘技みたいに直接見て分かるようなものでもないから、A級のプロ棋士の神秘性みたいなものも際立ってくる。
そうした島田八段やプロ棋士たち、川本家、香子、林田先生との関わりなども通して少しずつ変わっていく零の姿は、物語としてお約束的ではあるから、ある意味作品の良し悪しの別れ目のような部分もある。
羽海野チカさんの世界観を活かすアニメの力
原作は相変わらず読んでいないのでどういう感じか分からないけど、テレビアニメのように通常の1クール、あるいは長期の1クール(今回は全22話)と区切られてる中で描き切るのは、アニメ制作陣の腕にかかっている。
で、今期は結局のところ、宗谷名人や島田八段はもちろん、後藤九段との勝負もなく終わってしまうんだけど、
桐山零の可能性の片鱗みたいなものの見せ方が、こちょこちょとくすぐられるようでゾクッとしたり、宗谷名人はもちろん、島田八段の深さも気になるし、後藤九段もなにか変化球的バックボーンを隠してそうだなとか、期待が膨らんでたまらないw
そういう感覚をサラッと残しつつの、アニメ作品としてのしまい方としてはとても心地が良かった。さすがシャフトと言ったところか?
もちろん羽海野チカさんが描き出す世界観の心地良さ、作品自体の心地良さってことはあるだろうけど。
ある種の人間には辛く苦しくも、同時に救われる最終回
そうしたアニメ作品として以外に、最終回を見て思ったこと。
将棋をやったことないとか、「3月のライオン」もアニメも興味ないとか、それでもいいから、この最終回だけでも、ある子供たちや、ある大人たちに見て欲しいと思った。
もちろん、桐山零少年のような、内向的な特質を持つ子供たちと、その周りにいる大人たちだ。
大昔の、子供だったころの自分自身を思い出して、とてもそう思う。
子供はある意味こんな風に残酷で、でもこういう残酷な状況は子供同士の間にはよくある話。
それでもある種の子供は、そんな目に会っていても実はもっと冷静で、覚めた目で周囲を見ていたりする。
そして実はそういう子にとって一番辛いのは周りの目だったりする。
現実的、肉体的に行われる何かよりも、周りの人間達の中で自分像を勝手に形作られてしまうことを必要以上に恐れる。
最終回で桐山零少年が思うようなことを、現実的に思っていたりするのだ。
別に関わってくれなくて構わないんだけど、周りに可哀想だと思われたくないとか、寂しそうだと思われたくない、あるいは大人に見つかったら余計に面倒な目に合うからと無理にでも自分をごまかそうとする。
可哀想とか寂しそうだと思われる自分を恥ずかしく思ってしまうから、必死に自分以外のものになろうとしてしまう。
もちろんこういう、ある意味特殊な子の、個人的な感情を周りが察知するのはすごく難しいはずだ。
だからそんな子の表層的な部分だけを見て心配して誰かに相談しても、よほど分かっている人でない限り「一般的」なアドバイスしかもらえず、それこそ大人に見つかって余計に面倒な状態を作り出して、逆に苦しめてしまう。
内向型やHSPなら分かること?
こういうのはもう、親、家族、そういう本当に近い人にしか分からない。
… いや、それでも分かるかどうか、ではあるのだけど。
みんなと遊びたがっているのか、友達がいなくて寂しそうなのか、それとも1人でいたがってるのか、誰にも邪魔されずに何かに没頭したそうなのか、とか。
もし少しでも後者のように感じたり、そしてそれならどうすればいいか分からなかった時、その答えもこの最終回の中にある。
桐山零少年が手にしたような、その子だけの切符。その子だけの居場所だ。
ある意味桐山少年は運が良くて?「将棋」という切符を手に入れて、対局することを通して自分の居場所を見つける。
でも現実はなかなかそんなに上手く行かない。
締め付けるような不幸やら逃れようのない境遇の中ではどうなのかは分からないけど、「一般的」に暮らしていれば、その中でまったりと自分を誤魔化しながら、上手く周りに合わせる。
こういう子たちにとってそういう方法が生き抜く手段だし、そうやって隠し通す器用さも持っていたりするのだ。
でも本当の自分を隠していて、本人もそれがどういうことなのか、さすがに幼くて分からないから、そのままだと後でひどく苦しむことになる。
だからこういう特質を持つ子がいたら、可能な限り注意を払って、その子が夢中になることを拾って、それに集中させた方がいい。
こういう子は、そういうものを手に入れた時は逆にとても強くなるからだ。
それこそ桐山少年のように、揺れ動きながらでも、自分の居場所で活き活きと自分らしく生きられると思う。
そこに同じく自分の切符を手に入れた、晴信たちのような仲間がいるならなおさらだ。
人間には特質やタイプがある。
内向型タイプ、HSPにとってこの世はとかく生き辛い。
圧倒的多数の外向型の中で、自己嫌悪に苦しむ人も多いんじゃなかろうか。
そういうめんどくさい特質とそれなりに長い年月付き合ってきていれば、嫌という程自分との対話も重ねてきているから、画像のような本を読んでもあらためて知ることはそんなには多くない。
それでもこうして定義付けして、整理して、説明してくれてたりすると、やっぱりどこか安心感というか、これでもいいんだなと思える。
子供の頃や若い頃にこうした本に出会ってたら、もう少し楽だったのかもしれないとは思うから、まだ自分なりの答えを見つけられていない子供や若い人達には、少なからず役に立つ本じゃないかなと思う。
という訳で、後半はなんだか全然違う話になってしまったものの、第2期も楽しみで、モモちゃんを見れるのも今から楽しみだ♪


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