アニメレビュー【サクラクエスト】が田舎、地方の仕事を通して伝えたもの

おなじみ超遅アニメレビュー。

前回から2017年4月クールのアニメ作品ということで「Re:CREATORS」を紹介してみたけど、今回は全く毛色の違う作品「サクラクエスト」のレビューを書いてみる。

もちろん今回も少々ネタバレになると思うけど、もう4年も前の作品なので細かいことは気にせず好きに書いてみる。

 

「サクラクエスト」の概要などなど

この「サクラクエスト」は大好きな作品で2回見てるんだけど、今回また見返してみてもまた面白くて、楽しめて、感動して泣いてしまうという良作。

 

(出典:YouTube TOHO animation チャンネル

 

そんなオッサンの汚い涙の話は置いといて、まずは作品の概要から。

この「サクラクエスト」は「P.A.WORKS」制作による作品で、2011年の「花咲くいろは」、2014年の「SHIROBAKO」に続く「お仕事シリーズ」の第3弾となるオリジナルアニメーション作品。

 

オリジナルアニメーションなのに、原作「Alexandre S.D. Celibidache」という名前がクレジットされてるんだけど、これがどういうことなのかは作品を最後まで見れば分かる。

…まぁ最後まで見なくても分かると思うけど、ぜひ最後まで見て欲しいので詳しくは書かないw

 

「お仕事シリーズ」ということで言うと、今回のお仕事はザックリ言うと田舎の町おこし

東京から手違いでやってきて「国王」とされてしまった主人公「木春由乃」(CV:七瀬彩夏)が、同じく東京からやってきたWEBデザイナーの「香月早苗」(CV:小松未可子)、ジモティーの「四ノ宮しおり」(CV:上田麗奈)、「緑川真希」(CV:安済知佳)、「織部凛々子」(CV:田中ちえ美)という4人と協力して間野山(魔の山)という土地を盛り上げていこうと奮闘する物語。

サクラ咲く「魔の山」に集いし「5人の勇者」の冒険(活動)てことで、ドラゴン…ならぬ「サクラクエスト」という訳だ。

 

ちなみに間野山について知りたい方は観光協会のHPへどうぞw

間野山良かとこw (・∀・)
間野山観光協会
日本海に程近い山々に囲まれた豊かな自然に囲まれた街“間野山観光協会”のホームページです。「自然」「美」「祭」など、間野山の魅力が満載です。間野山には「チュパカブラ王国」というミニ独立国も存在し、間野山の観光スポットとしてにぎわっております。見どころ満載の間野山へ、ぜひお越しください。

 

アニメは総合芸術!ぬかりなく!

作品は2クール全25話で構成されていて、14話からOP、EDが変わる。

ちなみに公式動画で1〜13話のOP・ED、14話以降のOP・EDがアップされているのでOPを聴き比べてみて欲しいんだけど…

(出典:YouTube TOHO animation チャンネル

 

(出典:YouTube TOHO animation チャンネル

 

聞いて分かるように曲調がガラッと変わる。

第1期、第2期としてのメリハリと思えば普通のことではあるんだけど、ストーリーがガラッと変わるって訳じゃないので、続けて見てきて14話でいきなりこのロック調に変わったのが最初ちょっと気になった。

曲自体はすごくかっこいい曲なんだけど、多少違和感を持ってしまったのが本音。
ストーリーと合ってないと思ってしまったってこと。

 

細かい部分ではあるんだけど、個人的に「アニメは総合芸術だ!」と思っていて、ほんとに素晴らしいと思える名作はストーリー、キャラ設定、アニメーション、背景、効果音、OP、EDなどなどすべてが世界観を引き立て、盛り上げてると思う。

それだけにちょっとした違和感で印象が変わってしまったりすると、すごく勿体ないと思ってしまう。

このOPの変更で印象が変わってしまったのかと言うと、そこまでではなかったし、基本かっこいい曲なので慣れれば全然問題ないんだけど、気になった点の一つではある。

 

「お仕事」と「サクラクエスト」の評価について…

この作品は上で書いたように P.A.WORKS の「お仕事シリーズ」の3作品の一つで、最初から3部作の予定だったのか、結果的にそうなったのかは不明ながら、ラストを飾る作品だ。

「花咲くいろは」「SHIROBAKO」と前2作もすごく面白くて、3作品とも大好きなんだけど、この「サクラクエスト」はその前2作と比べて「お仕事」感があまりない。

 

職種的に見るなら、地域の観光課とか広報課とか「地域おこし協力隊」みたいな感じになるのかと思うけど、そういう「仕事感」をほぼ感じない。

これはまあ「花咲くいろは」の老舗旅館の中居さんとか、「SHIROBAKO」のアニメーション業界とかみたいに、分かりやすく分類できないってこともあるのかもしれない。

高齢化、過疎化、限界集落化、みたいな田舎の話は未だ解決できていない問題だし、各地域で地域振興や活性化などは色んなことを試行錯誤で試されてもいる訳だから、単純に「お仕事」と割り切れる問題でもないと思うし。

 

で、上で書いた、最初から3部作の予定だったのか、結果的にそうなったのかは不明って部分。

これは前2作に比べてこの「サクラクエスト」は正直「ハズレ」たと思うから。

この「サクラクエスト」も大当たりだったとしたら、もしかしたらその後も続いたのかな?とか、その辺りは不明。

まあ好き嫌いは色々あるとは言え、この作品は結構な叩かれようだった記憶がある。

 

扱う題材が題材だけに難しかったのは確かだと思うけど、何度でも言う、この作品は何度見ても楽しめる大好きな作品なのだ。個人的にはw

 

そして敢えて言うなら、幸か不幸かコロナのせいでテレワークの可能性がグンと広がったり、それにともなって地方移住が再注目されたり、はたまた若い人たちの田舎への回帰?なども進んでる今こそ見る価値があるはずだ!と叫びたいw

 

Prime Video の「SHIROBAKO」「花咲くいろは」(・∀・)b
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武蔵野アニメーションの新人制作進行のあおいを中心として、アニメーション制作現場で起こるトラブルや、葛藤や挫折などといったアニメ業界の日常を描く群像劇。©「SHIROBAKO」製作委員会
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サクラクエストが「お仕事」を通して描きたいものは?

という訳で、後ろ向きな話?は置いといて、レビューというか、感想を書いてみる。

あ、その前にアニメ自体見ないしな、って人で、ドラマ「高原へいらっしゃい」(2003年版)とか、「ナポレオンの村」なんかが好きだった人なら、この「サクラクエスト」は恐らく楽しめると思う。

 

ということで本題。

この「サクラクエスト」で描かれる内容は、地域の再生とか、衰退する地方の抱える問題とかなんだけど、とにかく田舎が抱える問題点がてんこ盛りに詰め込まれてる。

 

過疎化、限界集落化、高齢化、シャッター通り商店街、廃校、合併問題、などなど、これでもかと「5人の勇者」を問題が襲う。

それに対して地域の資源の活用やら伝統工芸の挑戦、ITの活用、クラウドファンディングの模索、映画撮影のロケ地としての提供、ミニバスの運行などなど、これまた様々な対策を打っていく。

これほど広く扱ってるだけに「お仕事」として描こうとしても中途半端になるだろうことは容易に想像できる。

 

でもそれならなんで、「お仕事シリーズ」としてこの題材を取り上げたのか。

個人的に感じたのは「形としての仕事」ではなくて「在り方としての仕事」を描きたかったからじゃないかってこと。

お金のために仕方なくする「ライスワーク」よりも、生き様に繋がる「ライフワーク」としての仕事、もっと言えば人生そのもの、みたいなこと。

 

2クール25話とは言え、約半年の中でこの手の題材の問題と解決を描くことなんてできるはずがない。

それを「所詮はアニメだな」とか「そんなに上手くいくはずないだろ」なんて考えるのはまるで意味がないし、あまりにもイマジネーションが乏しい。

問題解決を描ききれないなんてことは、恐らく制作側だって分かってたはずだ。

 

ストーリー中でも、例えば「こんなクソみたいな田舎うんざりだ!」と言い放つ中学生のエリカちゃんに明快な答えを提案できてなかったりなど、無理矢理に解決策を提示してる訳でもない。

だから、この「サクラクエスト」が描きたいのは解決策じゃないし、むしろ「お仕事」ですらないんじゃないかと思う。

前2作同様、その「お仕事」という題材を借りて伝えたい部分は、もっと違うところにあると思う。

 

ただ、もちろんアニメ作品としての解答?メッセージ?みたいなものはあるはずで、それは大きな意味で「そのままを保つこと」ってことなんじゃないかなとも。

 

それは今のままでいいってことではなくて、でもただ単に新しくてきらびやかな未来ではなく、原点に立ち返るような未来の方向に進んでいく、みたいな感じだろうか。

 

「チュパカブラ王国」は実在した!?w

この「サクラクエスト」を2期に別けるとしたら、前半13話までは過疎化する田舎の問題と、その解決に奔走する5人が描かれる。

その地にある伝統工芸で今風のものを作ろうとか、お見合いツアーで若い女子を呼ぼうとか、有名人の力でたくさんの人を呼び込んで盛り上げようとか、まさにどこかで見たことがあるようなステレオタイプの姿。

 

そういった何かをはじめよう、作ろう、変えていこう、的な高揚感は確かにワクワクはするんだけど、それは客観的にというか俯瞰的に見るとイタさと紙一重だったりする。

その最たるものとして、若い人は知らないかもしれないけど、かつて、と言ってもほんの30数年ほど前に「ふるさと創生事業」というものがあって、地域活性のための資金として、なんと1億円が市区町村に配られたことがあるのだ。

 

チュパカブラ王国」なんてマヌケすぎるアニメの中だけの話と思うかもしれないけれど、現実としてありえない使い方をした地方が実際にたくさんあったのである…
(;´∀`)

当事者達には見えなくなりがち、でもだからこそそういうイタさの部分もしっかり描いてるんだと思う。

 

苦い経験をして打ちひしがれた勇者たちなんだけど、2期のスタートとしての14話、一旦クールダウンみたいに描かれるこの回は新たなスタートとしての重要な意味を持っている。

東京に一時帰省した早苗がふと漏らす言葉。

「よそ者になった気分」

この言葉は重要なキーポイントだと思う。

 

「サクラクエスト」の核心?故郷への愛着

後半となる14話からは、より間野山という地域に溶け込んで、間野山のために動いていく勇者達が描かれ、間野山の人達にもよりスポットが当てられていく。

5人が突っ走って解決策を提示するってよりも、間野山の人達と一緒に解決策を模索していく、みたいな展開。

ある意味ここからの展開こそが、上で書いた「サクラクエスト」の描きたかった部分なんじゃないかなと思う。

 

早苗の漏らした「よそ者になった気分」、つまり故郷と感じつつある間野山で、その地域の人達とどうやって未来に向かっていくのか。

便利で、新しくて、人がたくさん、そんな単純なことじゃなく、東京で「よそ者」と感じてしまうほど間野山の中に入ってこそ感じる何か、その地域への愛着みたいなものが大切なんじゃないかってこと。

 

そしてその解決策が、これまた上の方で書いた「そのままを保つ方向の未来」ってことなんじゃないかってこと。

 

チュパカブラ王国からの独立を宣言してクーデターを起こす(笑)鈴腹教授はまさにそれを目指すような登場人物で、5人を焚きつけて廃止寸前の路線バスの新しい在り方を見事に引き出してみせる。

鈴腹教授の言う「人は楽しそうなところに集まる」というのが真理で、これは地域活性、地方再生のアイデアの一つなんじゃないかと思う。

 

必死で地域外の人に働きかけて良いですよと訴えてみるよりも、地域内でワイワイ盛り上がって楽しそうな姿を見せることの方がよっぽど効果的ってこと。

よくある内輪ウケで盛り上がってるのを見るとなんか気になって知りたくなってしまったり、その内輪ウケが羨ましく思えてしまう、アレと同じだ。

 

そして、東京で「よそ者感」を味わった早苗は「その地に根付く」ことの意味を、鈴腹教授の死後知ることになる。

 

あなたの隣にもいる?香月早苗というキャラクター

個人的な見解としてこの「香月早苗」というキャラクターが実は重要なキーマン?キーウーマン?で「裏主人公」なんじゃないかと思ってたりする。

この香月早苗を主人公にしたいけど、それだと物語のカラーが全く変わってしまうから、「IT大臣」という脇に回してるんじゃないかとw

 

(出典:YouTube TOHO animation チャンネル

 

主人公木春由乃は32社の面接で不採用を食らう東京の短大生で、突然意味不明なチュパカブラ王国の国王にされるも、負けじと前向きに突き進む元気印。

四ノ宮しおりは田舎にいることに何の疑問も抱かず、地元大好き、都会への憧れを抱いたこともないおっとり観光協会職員。

緑川真希は子供の頃から女優を目指して東京に出たものの、セミを食うことすら躊躇しない後輩の本気度に自分を見失ってしまう元女優。

織部凛々子は引きこもり気味のちょいコミュ障、研究熱心で観察眼もするどいオカルトマニア。

そして香月早苗は東京でWEBデザイナーとして頑張るも体調を崩し、代わりはいくらでもいるという現実を突きつけられて逃げるように田舎に移住した女性。

 

このキャラ設定を見て、香月早苗だけ妙に現実感があると思うのは自分だけだろうか?

 

早苗のようなどこかリアルな人物像を”元ネタ”に置いて、地方の問題に関わる仕事を絡めた生き方の再構築、それを描くために用意したのが「サクラクエスト」という舞台。

そんな見方をするのも面白いと思う。

 

ちなみに、早苗はその後シャッター通り商店街の一角を借り、地域コンサルティング事務所を開設する。

この辺りも妙に説得力がある気がするのだ。

 

田舎の「問題」に対する「サクラクエスト」からの解答

さて、そんな個人的な見解は置いといて、後半は感動するエピソードが多いんだけど、5人の成長、とくに「国王」木春由乃の成長の描き方は、ほっこりしつつ見ているこちらまで頼もしくなるw

 

でも単純に彼女の成長だけを描いてる訳ではもちろんなくて、ラスト近くの23話では由乃の思う地域再生の形が語られたり、なぜ東京から来たよそ者なのに、間野山のためにそこまでできるのか、の問いに答えるシーンがある。

ネタバレありとは書いたものの、このシーンはぜひ実際に見てほしい感動のシーンなので細かくは書かない。

木春由乃の答えではあるけれど、「サクラクエスト」という作品からの解答でもあると思うから。

 

地方移住が再注目されたり、イケダ ハヤト氏の「まだ東京で消耗してるの?」とか、さらに「山奥ニート」という生き方さえ受け入れられる今、田舎に色んな可能性を感じてる人は少なくない気がする。

 

ただ、聞こえてくるのはもちろん良い話だけではなくて、ひどい目にあったとか、ただの幻想だ、そんな甘くない、村八分にあった、などなど悪い噂も少なからず耳にする。

それは多分どちらか一方が悪いって訳じゃなく、両者の感じ方や考え方の違いから来るものなんじゃないかと思ったりする。

突然間野山にやってきて「国王」にされ、それでも間野山のために奔走してきた木春由乃がどんな答えを出したのか、しっかり見てみてほしい。

 

ひいきと言われても是非見て欲しい作品

という訳で、今回は大好きなアニメ作品「サクラクエスト」をレビューしつつ、自分勝手な感想をだらだらと書いてみた。

この作品がなんでそんなに人気がなかったのか、個人的には全く分からない。
分かってたらこんな記事書かないw

 

まあ、個人的に田舎が好きとか、引越したいとか、ひいき目に見てしまってる部分は多いかもしれない。

でも、今この時代のタイミングでちょうどこの作品を紹介することになったのも何かの縁?ってことで、思う存分書かせてもらった。

…とは言え肝心なところを書いてないので、イラッ!と来た人がいたらゴメンナサイなんだけど…
(;´∀`)

 

上の方で書いたOPの件とか、みずち祭りの歌が今風過ぎるとか、後半絵柄に多少破綻が見えるとか、些細な点はいくつか出てくるけどスルーできる。

それよりも、田舎、故郷、地方移住や働き方、生き方などなど、否応なしに考えさせられている人もいるかもしれない今、まだ見たことない人はもちろん、途中まで見てやめてしまった人も、ぜひもう一度見返してみてほしいなと思う。

 

でも注意しないと、見終わった後に「間野山ロス」に陥るかもしれない…

ってそりゃ自分だけか w

 

だってラストなんてもう、感動で涙なくしては見られないんだもの…
(T_T)

 

あろうことか、【U-NEXT】ではマンガしか扱ってない!ヽ(`Д´#)ノ
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これであなたも「間野山ロス」(・∀・)b
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主人公、木春由乃(こはるよしの)は、田舎から上京し短大の卒業を間近に控えた、いわゆる普通の20歳の女の子。東京には何でもあって、きっと特別な何かになれるのではないかと夢みて、30社以上の面接を受けるも、未だに内定はない。銀行の残高は980円。このままでは、田舎帰って普通のおばさんになってしまう・・・と葛藤していたそんな...

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