前回まで2017年4月クールのアニメ作品を紹介してきたってことで、今回からは2017年7月クールのアニメ作品をレビューしていこうかと。
その最初として、今回は「度し難い」でお馴染み?の『メイドインアビス』を取り上げてみる。
この『メイドインアビス』は「一応」今年新作スタートのアナウンスもされているので、超遅レビューでも丁度良いタイミングだと自分を擁護しつつ、これまでの作品の感想として書いてみる。
2022年『メイドインアビス』新作スタート!
感想、レビューの前に。
最初に書いた様に、『メイドインアビス』は2022年にTVアニメの新作が公開される予定。
『メイドインアビス 烈日の黄金郷』
ただ、下の第一弾PVを見ると、リコ、レグ、ナナチはサブに回るのかな?
展開うんぬんは原作を読んでいないので分からないんだけど、wikiを見てみると時系列は合っている様なので続きの物語になるのかな?
とは言え、wikiの登場人物の解説を読んでも全く意味が分からないというあたり、さすがの世界観…w
(出典:YouTube KADOKAWAanime)
新作スタートの「予定」ではあっても進行具合でどうなるかは正直不明。
ただ、4月6日からBS11で1期の再放送が決定とアナウンスされていて、「予習」を兼ねた話題作りもあると思われ、イコールほんとに新作が近い内にスタートする!
…と信じたいw
ご存知のように放送は無事に?スタートして終了 (;´∀`)
動画の配信もスタートしてます♪

『メイドインアビス』原作とTV版&劇場版について
という訳で、新作の件はひとまず置いといて、『メイドインアビス』は劇場版も公開されてるんだけど、この2017年7月クールの続きと言っていい作品、というよりもテレビアニメを見ていないと劇場版はほぼ理解不能だと思うので、今回は「豪華な1クール」と捉えて、『劇場版「メイドインアビス 深き魂の黎明」』も絡めて紹介してみる。
なので、テレビアニメシリーズ、劇場版、ともに『メイドインアビス』未視聴で、これから見ようとしてる人、ネタバレが嫌な人は、読まないことをオススメする。
前述の通り、この『メイドインアビス』はつくしあきひとという方の原作漫画があるんだけど、wiki には以下の様にあって…
『メイドインアビス』(MADE IN ABYSS)は、つくしあきひとによる日本のファンタジー漫画。
~(略)~
年間2回程度の不定期連載である。
〜(略)〜
2020年2月時点でシリーズ累計発行部数は333万部を突破している。
出典:wiki「メイドインアビス」
「年間2回程度の不定期連載」とあって、??それって一体どういうこと??って、いつものように原作未読なので掲載形式とかもよく分からない。
ただ、色々な記事など見てみると、アニメはかなり原作に近い形で作られているようで、マンガ読者にも受け入れられている模様。
アニメーション制作は「キネマシトラス」という会社で、あまり聞いたことがなかったけど、「エウレカ」や「江古田ちゃん」『東京マグニチュード8.0』とかを作成してたり、『シン・エヴァンゲリオン』の制作協力などもしている会社。
まんがは不定期連載で、原作自体まだ終了していない作品なので、当然アニメ自体も冒険の途中経過として描かれる形になる。
なので今回の記事ではあくまでもTVアニメと劇場版アニメだけを見ての感想、レビューということで書いていってみる。
『メイドインアビス』は取り扱い注意?
「書いていってみる」と書いたものの、さてなにからどう書こうかと悩む…w
取り敢えずまず書いておきたいのは、冒険譚として傑作、快作であるのは間違いないんだけれど、同時に「怪作」でもあるということ。
それは万人が受け入れられる作品ではないだろうなということ。
(どんな作品もそうだろうけど)
同じ冒険作品でも宮崎駿さんが描くような冒険作品ではなく、もっとコアで、えぐるような?作品。
もう少し具体的に書くと、目を背けたくなるような「痛み」のあるシーンもあるということ。
とりあえずそんなことを微塵も感じさせない第1弾のPVをw
(出典:YouTube KADOKAWAanime)
このPVを見て「美しい」「カワイイ」作品だと思って、そういう作品が好きな人が見始めても、本編ではキツイ描写もあるので、そういうものが苦手な人は注意が必要。
ただ、『メイドインアビス』という作品世界を味わうためには、それらの描写は避けて通れない部分ではあるし、それらがあるからこそ光る部分もある。
個人的には、PVを見た段階ではキャラが好みじゃないし、作画は綺麗だけどストーリーとかは正直あまり期待はしていなかった。
もちろん内容によってどうにでも転がるので、単純に好みだけで見る見ないを決めるのは早計、というのはあちこちで書いてる通り。
この『メイドインアビス』も同様で、見進めるごとにその世界観に魅了されることになるはず。
とにかく作画がまず美しくて、「アビス」と呼ばれるいくつもの層に分かれた縦穴は、それぞれが別の大陸みたいな別世界で、ただの岩肌ゴツゴツばかりではない世界が描き出される。
そして、好き嫌いが分かれそうなのがキャラクターデザインだと思うんだけど、このいかにも可愛らしいキャラが、美しい景色の中で壮絶な体験をしていくというギャップが、ある意味見る者を離さないんじゃないかと。

可愛らしいからハッピーな展開なんだろうなぁ♪

…アレ?なんか違くない?… ま、まぁ、この後ハッピーな展開に…
……
…

…って、え!? なに!? 腕が!?

まぢか…ひどい…
……
…

この後一体どうなるの?…
みたいな?w
『メイドインアビス』が無理なタイプ?
と、ここまでは概要的な?当たり障りのない?ことを書いてみたけど、ここからは文字通りもう少し「潜って」みる。
前述の「きれい」とか「カワイイ」みたいなファンタジーっぽい世界はほんの4話ほどまでで、それ以降はどんどん穴に潜っていくし、得体の知れない世界になっていく。
冒険とは言ってもジャングルを分け入る様な冒険じゃなく、洞窟に入る様な冒険なので、壮大なスケール感ではあってもある種の閉塞感がまとわりつく。
上述してるように『メイドインアビス』は現在も続いている物語だから、終わりがある訳ではなく謎も解明されない。
つまりこの閉塞感がずっと続いて、「アビスの呪い」と呼ばれる上昇負荷、謎に満ちた探索などと相まって、恐ろしくても戻れない、「逃げ場がない」ような感覚がさらに深まる。
この一見気づきにくい閉塞感は、人によってはジワジワと重くなってくるはずだ。
それは「冒険を好まないタイプ」の人。
好奇心旺盛で冒険が大好きな超行動派、という主人公リコとは真逆なタイプの人間。
登場キャラクターではナット?の様なタイプだ。
レグもどちらかと言えば石橋を叩いて渡る性格だけど、頼れる相棒が入れば率先して進んで行けるタイプ。
でもナットは恐らく頑なに拒むか、ダイブに案内した時の様に、本当に仕方なく、しぶしぶ了解する、みたいな感じ。
まあナットの場合はリコへの思いが一番なんだろうけどw
そういうナットや、ナットみたいなタイプの人間にとっては、アビスは恐ろしい闇の世界でしかないと思うんだけど、その闇にあって、光り輝く楽園のような場所がラストに向かって登場する。
それがナナチのいる森だ。
ただ、その美しい場所に辿り着く前がすごくヘビーな展開だから、もしかしたらここに辿り着く前に見るのをやめてしまう人もいるかもしれない。
でもこのテレビシリーズのアニメ『メイドインアビス』においては、このエピソードこそが最も美しくて泣ける部分なので、是非歯を食いしばって辿り着いて欲しい。(オッサンも号泣…汗)
ちなみにこうして『メイドインアビス』を紹介している自分も根っからのナットタイプだw
劇場版『メイドインアビス』のプルシュカという光
上で触れたナナチの登場から、ナナチとミーティーのエピソードは最も美しくて泣ける展開なんだけど、描かれるのは辛く過酷な物語だ。
『劇場版「メイドインアビス 深き魂の黎明」』で対決する「黎明卿」「新しきボンドルド」の狂気の犠牲となる二人の物語は、正直心がとてもしんどくなる。
ただ、そのおかげ(と言いたくもないけど…)か、本当に感動する、美しいエピソードになっている。
このボンドルドというキャラクターはとんでもないゲスで、テレビアニメの『メイドインアビス』に1つだけ文句を言うとしたら、最後の最後にこのボンドルドのシーンで終わって欲しくなかったということ。
劇場版への布石みたいなものが必要だったんだとしても、テレビクールは美しいラストのまま終わってほしかった。
キャラが濃すぎるせいで後味の悪い感覚を持ってしまった…
このボンドルド、「不動卿」動かざるオーゼン曰く「筋金入りのろくでなし」は、本当に強烈なキャラクターで、劇場版では「プルシュカ」というボンドルドの娘(正確にはアンブラハンズというボンドルドの助手の娘)が登場するんだけど、このプルシュカにさえ見るに耐えないとても酷いことをする。
ボンドルドは言ってみれば「温和に礼儀正しく愛を語る狂人」みたいなキャラクターなんだけど、原作者つくしあきひと氏はこのボンドルドの狂った愛さえも昇華してみせる。
ひどく歪んで身勝手な狂った愛も、プルシュカという稀有なキャラクターを通すことで、憎しみや恨みなどが全くない、純粋な愛の塊になりうることを描く。
プルシュカの無垢な心や願いがとても切ないエピソードだけに、見る側も送られるメッセージを受け取るのにそれなりの覚悟がいる。
このプルシュカは『劇場版「メイドインアビス 深き魂の黎明」』だけに登場するキャラクターで、最初は当然何かキーになるんだろうとは思うものの、まさかそんな形で!?と、想定外の形で描かれる。
辛く痛々しくはあるけれど、同時にとてもかわいらしくて清らかなキャラクターとして光を放っている。
アビスに挑むのは「ワクワクする自殺」
TVアニメ『メイドインアビス』でキーになるのは「憧れ」だ。
リコは母ライザに憧れ、レグは自分自身を知りたい、言ってみれば本当の自分への憧れに突き動かされ、アビスの奈落の底を目指す。
ただ、この憧れは「入口」に過ぎないというのは回を追うごとに分かってくる。
劇場版でプルシュカが指摘するのもまさにここで、リコはライザに会いたい訳じゃなく、ライザになりたいってこと。
つまり深層に進むほどに「もっともっと」と熱くなるようなリコの中にあるのは、冒険そのものへの憧れだ。
劇場版で「鎖の先の階段」を昇ることを選ぶのは、冒険を切望するリコやプルシュカだからこそで、ナット(もちろん自分も)だったら絶対に選ばないはずw
そしてその強い憧れに導かれる姿、知りたい理解したいという強烈な欲求からくる体験にこそ憧れている姿に、見ているこちら側も危なっかしさを感じつつも自然に引き込まれるんだと思う。
なぜなら、恐らく多くの人が我を忘れて夢中になれる何かを探して生きているから。
下層に潜るほどに「アビスの呪い」は大きくなり、やがては確実な死が待つという深界へ目を輝かせて進むリコ。
その姿を原作者つくしあきひと氏は「ワクワクする自殺」と言っている。
これは「ワクワクしない生活」へのアンチテーゼ?的な部分もあるのかなと思うけど、別にナット(つまりは自分)の様なタイプがワクワクしていないって訳じゃない。
じゃないんだけど、死んでもいいくらいに夢中になれる何かを追い求めてしまうのは、これはもう人間のサガみたいなものなんじゃないだろうか。
この「ワクワクする自殺」については、自分なりの気付きや視点みたいなものもあるんだけど、長くなりそうなので今回は省くw
『メイドインアビス』の残酷さについて
この『メイドインアビス』は残酷さが注目されるフシがある。
『劇場版「メイドインアビス 深き魂の黎明」』が「PG12」から「R15+」に引き上げられたのも、そのことに拍車をかけているかもしれない。
本作は当初PG12指定とされていたが、映倫の最終審査の結果R15+指定に引き上げられたため、製作委員会が「15歳未満且つ前売り券を所持している者に限り、2019年12月28日から2020年1月末までチケット代を返金する」ことを発表する事態となった。
出典:wiki「メイドインアビス」
ただ、これはTVアニメと劇場版とでしっかり分けて考える必要はあると思う。
TVアニメ『メイドインアビス』は上で書いたように「憧れ」がキーワードで、その憧れに突き動かされ未知の縦穴に挑む姿が描かれる。
ある意味アビスが神と人間のハザマの世界の様に描かれている以上、生物の生き死にを描くのは自然だし、痛みや過酷さが付きまとわない冒険はレジャーでしかない。
一方『劇場版メイドインアビス』はTVアニメの続編的な位置づけで、より一層過酷で残忍な一つのエピソードとして描かれていて、TVアニメ版とは異質な残酷さがある。
なので、劇場版をそのまま子供に見せて良いものかと聞かれれば、個人的にも承服はしかねる。
これは「なにをもって残酷さと考えるか」ってことにもなるかと思うけど、ただ人が沢山殺されるとか血が飛び散って血みどろとかってだけの下らないアニメなら、むしろそんな部分には注目されない。
残酷さはよりリアルな感情を伴うことで重みを増して、危険さも変わってくると思う。
TVアニメ版『メイドインアビス』が痛みや悲しみの感情が伴うとすれば、『劇場版メイドインアビス』には痛みや悲しみの他にも、怒りや憎しみという感情が加わり、さらに暴力的な残忍さも伴ってしまう。
子供がこれを見たら、ただでさえ可愛らしい子供のキャラクターで感情移入しやすいだけに、悔しさとか、憎しみ、悲しみみたいなものだけをストレートに植え付けてしまう可能性があるんじゃないだろうか。
仮にそうした感情を植え付けてしまったとしたら、まだ家と学校という場所にしか世界がない子供たちにとってはとても危険だと思う。
それなりの時間を生きていれば、この世の理不尽さや不条理さも知ることになるし、そうしたネガティブな側面があるからこそ反対に位置するものがより一層の光を放って輝くことも知る。
でもその輝きみたいなものは、やっぱり経験、体験を重ねた先にしか見えないものだとも思うから。
もちろん当の子供たちは感受性の塊だし、もっとしっかりストーリー性を把握しながら見られるのかもしれないけど、すでに汚れっちまったオッサンはそういう心配もしてしまうのだw
『メイドインアビス』を引き立てる素晴らしい音楽
なんにせよ、死と背中合わせのアビスの深界は、深まる程に環境もまるで違えば生息する生き物も違って、恐ろしいけれどとても神秘的で美しい。
そして、この美しく壮大な世界観を、坂本真綾(ライザ役)さんのナレーションとKevin Penkin という方の音楽、挿入歌が盛り上げていることを忘れてはならない。
TVシリーズでは「Takeshi Saito」という方の「Hanezeve Caradhina」、劇場版では「MYTH & ROID」の「FOREVER LOST」と、とにかく素晴らしい名曲で、この『メイドインアビス』という物語の世界観がさらに引き立つ。
神秘性が増してただただしびれる。
(出典:YouTube SNARE COVER Official)

どこかの記事でも書いた気がするけど、アニメは「総合芸術」だと思ってる。
よくできた作品や名作と感じる作品は、作画が綺麗とか、キャラデザがいいとか、アニメーションが細やかとか、一つ一つが特化してるってことじゃなく、トータルなバランスが素晴らしい作品ってこと。
全体を通して見て違和感を感じない世界観が構築されていて、それが作品に没頭できることに繋がって、ああ良かった、素晴らしかった、って気持ちになれる。
『メイドインアビス』は終わるべき物語
という訳で、長くなったが今回は語り尽くせぬ魅力が詰まった『メイドインアビス』について紹介、レビューしてみた。
この物語が一体どんな結末を迎えるのか、早く見たい気持ちもずっと続いて欲しい気持ちもあるんだけど、やっぱり終わりがあるべき物語というか、終わりをしっかり描ききって欲しい物語だと思う。
つくしあきひと氏なら普通じゃない?終わり方を描き出してくれる期待もあるし。
(厳しい展開に心の準備は必要かもだけど…)
まぁ、今年新作がスタートするってことだし、なにより原作もまだ終わっていないので、当分はこの世界観にハマれる幸せを楽しもう。
(情報は2024年3月時点のものです。最新の配信状況はU-NEXTサイトにてご確認ください。)
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