「BLOOD」はなんで何度も作られたんだろうと思う。
しかもこの「BLOOD THE LAST VAMPIRE」の痕跡?を一切残さずに。
この作品をリスペクトして、とかはあり得るとは思うんだけど、あまりにもかけ離れてて、むしろ侮辱のような気がしてしまったりとか、最早全く別の作品になってる感じがして「BLOOD」と冠する意味があるんだろうか、とか思う。
これまでTVアニメのBLOOD2作品も実写版も見たけど、この「BLOOD THE LAST VAMPIRE」の印象が強すぎて、個人的にはどれも最後まで見るに耐えなかった。
血みどろでグロい印象しか残らないとかのありえない話は置いといて、それでもどこかで「BLOOD THE LAST VAMPIRE」の世界観の再現みたいなものに期待している自分がいて、
でもその度に「あぁ、やっぱり全然違うわ…」「やっぱり超えられないな」といつもがっかりしてた。
それほどにこの作品は大好きで、しびれるアニメ作品の1つだ。
非日常な “捕食” や “退治” にも漂う日常感?
なによりまずは、やっぱりその世界観がすごく良くて、これはもう見てみるしかない。なんと言うか、じっとりと重い。
人間社会に同化する”鬼”とそれを殺す者、巻き込まれる普通の人間。
それが交錯するほんの数日を描いただけで、原因とか結末とか、そういうものはまるでない。
つまりは、始まりも終わりもない普通の日常を描いてるだけのような作品になっていて、そこがいい、と思う。
おぞましい敵がいて、それを退治する者がいて、こういうことがあったからこうしてケリをつける、そういう物語的なお約束を取っ払ってるから、見る側も「解決」しない。
解決しないから、日常感が増す。
もちろん、お話的にはこういう感じなんだろうなと思わせるような些細なセリフや場面は散りばめられているんだけど、逆に言えばそれだけ。
ほんの一瞬の出来事を描いたような映画の世界で、それで分からないほどのことは必要ないとも思うし、分からなさ過ぎて集中できなくなるようなこともない。そういう絶妙なバランスも好きだ。
そしてそのバランス感が、物語の中で振り回されることになる「保健の先生」の最後のエピソードと重なって、見ているこちら側もあらためて振り返ることになったりする。
ショッキングな出来事と置かれてる状況の不可解さに魂の抜け殻みたいになってる先生を見て、ようやく見てるこちら側も世界観との境界を認識してクールダウンする。
それくらい息をもつかせぬ迫力で、ぶっちゃけ恐い。
血生臭さと乾いた匂いのバランス
終始漂う空気感は暗く陰湿で、血生臭い。
なんだけど、いわゆる昔の米軍基地周辺の感じとか、ベース内のアメリカングラフィティ的な?感じとかはどこか乾いた空気感も漂っていて、これまた絶妙なバランス感だ。
ベース周辺で展開される物語なので、どちらかと言うと英語が主体。
そうなれば当然重要になってくるのは声優さんだけど、主人公、小夜を演じるのは工藤夕貴さんなので全く問題なし。というよりも、非常に素晴らしい。
いや、もちろん自分は生粋の日本人だし、英語なんて全然話せないので、ネイティブが聞いてどうなのかとかは分からないけど。
でも、たまに声優さんに英語を喋らせるアニメとかあるけど、あれは結構引く…
頑張ってみてもやっぱり日本人の英語丸出しだと、一気に物語から抜け出て現実に戻ってしまうので、そういうシーンがあって、かつ重要なんだとしたら、最初の人選の段階からよく吟味した方がいいと思う。
工藤夕貴さんに関してはもちろんそんな心配は必要なく、クライマックス近く、演じる小夜が「ディビィーッッ!」「ソー!!」と叫ぶシーンは相当しびれる 笑
贅沢BOXが今はこの値段… 好きならこれこそ贅沢
キャラクターデザインは寺田克也氏で、まさに寺田克也な唇の小夜はとにかくかっこいい。
最後の悲しげとも、微笑んでるようともとれる表情はなにを物語ってるんだろうと、ここは今ひとつ理解が足りてない感じだ。なに、これから何度だって見るからじっくり考えよう。
ちなみに管理人が持っているコンプリートBOXには描き下ろしピンナップが付いていて、これも超しびれる。
高い金額を出して購入した甲斐があるというものだ。
…
…
と格好付けたい所だけれど、実はこのコンプリートBOX、中古でゲットしたもので、料金は805円(!)だった (;´∀`)
アマゾンのマケプレで購入して、送料含めて1000円ちょっと。
ちょっと寂しい気もしたが、まあそういうものだろう。
興味ない人にとっては800円でも高いだろうけど、自分にしてみればまさにありがたいお宝だ。
以前にも欲しいと思ったことがあったんだけど、その時には全然見つけることが出来なかったので、入手は無理かなあと諦めていた。
この時は偶然思い出したように検索したら見つけた。
これもタイミングだ。感謝。
wiki では裏話的な制作の経緯が読めて興味深い。
やっぱりこういう名作の陰にはあの人の名前があったりする。
とにかくこの映画は非常に短い作品ながら、いや、だからこそ?余計なものをそぎ落としつつ、魅せるところを濃厚に魅せる、めちゃくちゃしびれる作品だ。
ネタバレになるので書かないが、ラストはこんな感じだろうなと思っていても拍子抜けするくらい違う。
終わり方一つとってみても斜め上を行く。
というか、それくらいお約束的な終わり方とかが染み付いちゃってるってことだろうな。
そんなのもあって、今もどこかで小夜は鬼を狩ってるに違いない、とか子供のように妄想して遊んだりもできるw
キモいおっさん、おばはんになるのを恐れなければ ( ̄ー ̄)ニヤリ
↑大好き “デカ箱もの”「AKIRA SPECIAL EDITION」や「限定版鉄コン筋クリート」と並べると幸せな気分になれるのだ♪
コメント