月に一回は必ず、多い時は週一、二くらいで有隣堂(書店)に行く。
その時によって見るコーナーは違ってたりするけど、作品集や写真集のコーナーにはいつも必ず立ち寄る。
そこで偶然見つけて即買いしたのがこの竹谷隆之さんの精密デザイン画集。
さすがジブリの鈴木敏夫さん、上手いこと言う
竹谷隆之さんと言えば、まず思い浮かぶのはフィギュアなどの造形で、イラストとか画集とかはいまいちピンとこないというか、あまり興味ないって人は多いのかな?と思う。
実際自分もこの本を見る前はそんな感じで、以前記事で紹介した「S.M.H.」や「D.D.D.」をはじめ、S.I.C.とかリボルテックなんかのリアルフィギュアのモデラー、といった印象が強かった。
※以下クリックでデカい画像&スライド
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あと、庵野秀明さんの特撮博物館も見に行ったので、例の巨神兵とかもそうだしw
やっぱり「造形の神」って感じではあるんだけど、この画集の帯にはスタジオジブリの鈴木敏夫さんが
「造物主[God]の代理人」
と銘打っている。
その言葉はまさに的を得てる感じで、もう、その画力たるや凄まじくて、凡人には神としか思えない。
どの視点で見るか?
自分も含めてだけど、「造形の神」である竹谷隆之さんが好きなら、造形物、フィギュアを見たい、と思うのは最もだと思う。
作品集「漁師の角度」が廃刊になり、復刊されたものが “まるで別物” になってしまってるとなればなおさらそう思うのも分かる。
アマゾンのレビューとかを見ても、そういう人が多い感じはするし。
ただ、竹谷隆之さんをその視点だけで見るとすごくもったいない。
て、なんか言い方が失礼な感じがするけど、伝えたいのは「神は神」ということw
もちろん、人によって立体物が好きな人、絵が好きな人、両方好きな人、など色んな人がいると思うけど、仮に竹谷隆之さんの創る立体物が好きなら、フィギュアなどを手に入れてその作品の細部まで凝視してるはず。
そういう視点や観察眼で同じようにイラストを見たりとか、竹谷隆之さん自身の視点、観察眼を想像できたりとかすれば、産み出される立体作品自体ももっといろんな角度から楽しめるんじゃないかなと思ったりする。
一方でフィギュアとかに興味がなく、いわゆる “原型師” の画集なんて興味ない、とか思ってしまう画家さんやイラストレーターさんがもしいるとしたら、それはそれでまたすごくもったいないんじゃないかと思う。
この作品集で描かれてるのは絵やイラストの世界だけで完結しない作品というか、ある意味立体になることを前提に描かれている作品群。
しかも産業デザインとか、「用の美」とか、そういうのと関係ない立体物で、日常生活に特に必要ない、極端なことを言ってしまえば「趣味の世界」のそれ。
そういう作品なのに、これだけの画力とエネルギー、デザイン、アレンジ、、
イラストレーターではない竹谷隆之さんのこの作品集を見ることで、そういう壁?みたいのとかはすごくちっぽけに思えるというか、フィギュア、イラスト、アート、産業デザイン、用の美、そういうの全部ひっくるめて、表現することの偉大さみたいなものを感じる。
天は二物を…
この画集は竹谷さんの関わった多数のデザインがが見れる。
【映像方面】
・映画・アニメーション・ゲームのキャラクターデザイン
ZETMAN、巨神兵、牙狼、イノセンスや鬼武者、鉄拳タッグトーナメントなどのキャラデザ
【造形方面】
・フィギュア・スタチュー・人形・値付けのデザイン
サムライ・プレデター、リボルテック、スター・ウォーズ、S.I.C.など、主戦場?なので多数あり
【個人・未発表作品】
・漁師の角度、デザイン習作、アニメーション未発表作品、他のキャラクターデザイン
漁師の角度やアニメ企画などのデザイン画
【立体作品】
・Sculpture Works
少しではあるけど、立体作品の写真もおまけ的にあり。
これだけ見てもあまりよく分からないかもしれないけど、パラパラとめくるだけでその幅広い世界と圧倒的エネルギーに驚く。
すごく緻密なメカデザインがあるかと思えば、のっぺりヌメヌメ系の妖怪、クリーチャー、すでに存在するキャラクターの新たな解釈や展開、仏像に神…
キャラデザインとしてよくある全体的な人物画の他、アニメーション、映像などの動きを考えられたもの、あらかじめフィギュアなどの立体作品を前提としてポージングされたものや、切り取った場面(シーン)として構成されたもの、などなど…
鈴木敏夫さんの「造物主[God] の代理人」とはよく言ったもので、
すでにあるものを緻密に描くとかならまだ話は分かるけど、頭の中にあるものをここまで紙の上に再現(表現)できるものなのか!?
とw
というか、本来造形師・原型師な訳で、現実上にも創り出して表現してるんだから、やっぱりもはや生き神なのか…w
上の方で、日常生活に特に必要ない「趣味の世界」と書いた。
でもそういうものにこそ本来の人間性とか才能とかが現れるんだとすれば、「趣味の世界」はここまで突き詰めていい(可能か否かは別として)し、そこまで突き詰められたものは、もはや神を宿すんじゃないかな、と。
そしてそんな風に思えるこの作品集を、趣味人に限らず、色んな人に見てみて欲しいなと思ったりする。
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